この記事では 予期不安 をテーマとして扱います。
予期不安
パニック発作などの文脈で予期不安という概念の存在は知っていました。予期不安とは「何らかのよくない出来事が起きること、あるいは自分がその物事をすることなどを想像して不安感を覚える症状」です。
先日、「オセロ症候群」について知りました。オセロ症候群とは、例えば恋人が浮気しているんじゃないかと不安になりすぎて携帯をチェックしてしまったり、恋人を追い詰めてしまったりするような不安定さのことです。シェイクスピアの悲劇『オセロ』に由来するそうです。オセロ症候群について調べていると「オセロ症候群とは男女間の妄想と予期不安の病気だ」と説明しているものがありました。ここでも予期不安が出てくるのかと思ったのが記事を書くきっかけでした。
「予期不安」という存在しないものに対する不安が起こる仕組みや対策について知りたくなったのです。
パニック発作の予期不安への対抗策
予期不安に対処するにあたって大事なポイントは、予期不安で心配しているような出来事が起きる根拠はないということです。
パニック発作を起こしたことがあると予期不安も起こりやすくなります。確かにパニック発作を起こしたことはあるかもしれませんが、また発作が起こるという根拠はありません。偶然一回だけ起こってしまっただけで同じ状況だからと言って再現するわけではないのです。
例えば、電車で発作が起こしたことがある人は、次に電車に乗った時に「また発作が起こるのではないか」と予期不安に陥ってしまうことがあるかもしれません。このときに、途中で電車を降りて気持ちが落ち着いたとします。すると、脳内では「電車を降りたから発作にならなかった」「降りなかったら発作が起きていた」と認識してしまいます。「行動を起こしたから発作を起こさずに済んだ、そうでなければ本当は発作が起きていたのに」と思い込んでしまうのです。このようにすると発作に対する恐怖というか構える姿勢が作られて、予期不安が余計に強くなってしまうのです。
これを脱するためには、不安が幻想であることを認識するのが大事です。先の例で言えば、「電車を降りなくても発作は起きない」と認識する必要があります。理解してくれる人についてきてもらって、電車を降りずに最後まで乗るなどして「実は何ともなかったんだ」と思えるようにするのが最良なのではないかと思います。
改善に役立つかもしれない本
こうした不安への対処に役立ちそうな書籍を紹介します。
こちらは心理療法について。パニックになったときのメカニズムを解説しながら心理療法が有効であることを示してくれます。
予期不安はトラウマに近いのではないかなと思います。こちらの書籍では、トラウマ全般について詳しく書かれています。予期不安以外についても知れる上に、誰にでもひとつは当てはまることがあるんじゃないかというくらい身近なものもあるので読んでみる価値があると思います。
続いては、精神的に疲労してしまったニュースキャスターが自分の症状を解決するために瞑想やマインドフルネスの世界に入っていく、という本です。著者もパニック発作を起こした経験があります。とても人間的で読み物としておもしろいです。マインドフルネスの入門書や専門書よりも先に読んでみるのが良いと思います。