【体験談】パニック障害はどう始まったか

自分はかつてパニック障害との診断を受けたことがある。最初の発作は突然で当時は自分の体に何が起きているのか分からなかった。当時を振り返ってパニック発作が起きたときのことを記録しておこうと思う。

はじめてパニック発作が起きたときの状況

当時は大学生で大きな試験を控えていた。自分にとってはプレッシャーの大きな試験でそれに向けて勉強していた。特に体調が悪いようなこともなかったが、授業があるわけではなくただ自分で勉強するだけの生活は不規則だった。

はじめてのパニック発作が起きたのはそんな試験が終わったときのことだった。無事に試験を終えて、一度地元に帰省することになった。試験のプレッシャーから解放され、地元で数日過ごしたあとに家族の車で一人暮らしの家まで送ってもらうことになっていた。

数時間の移動の途中でサービスエリアに寄って昼食をとることになった。食事の途中でなんだか具合が悪いような気がした。食べ切れるか自信がなくなり、もし気持ち悪くなったらトイレに駆け込もうという考えがよぎる。思えばこれが一番初めのパニック発作だった気がする。トイレの場所を確認して、いざとなったら…と考えていた。家族だから言えばよかったが、その後の道のりも長くて家族は来た道を帰る必要もあったから、迷惑はかけたくないと思って我慢していた。残りの道もじわじわと気持ち悪さが続き、いつトイレに寄ってもらうかを考えながら耐えていた。結局最後までトイレに行くことはなかった。

家についたあと家族を見送ってからどっと疲れが押し寄せてきて、その日と次の日はほとんど動けないまま寝込んでしまった。

このときはパニック発作のことは知らなかった。正確にはパニック発作とは違うのかもしれないが、この体験がきっかけになったと思う。

2度目のパニック発作

それから数日後。帰省から戻ったということで当時の恋人の家に行くことになる。駅前で待ち合わせてからバスで家まで移動することになっていた。バスでの移動時間は30分かからないくらいだったはずだ。バスの一番後ろの座席の真ん中に座っていた。日は落ちている時間で、帰宅する人たちで席が埋まっていた。

目的地まで半分が過ぎたころ、背中にバスの揺れを感じていたとき、ふと少しの気分の悪さを感じた。気分が悪いかもしれない、くらいだったと思う。ここで、先日の車でのことを思い出した。「もしこのまま気分が悪くなったらどうしよう」という考えが頭をよぎる。隣には恋人がいるし、車内は同世代くらいの学生でいっぱいだった。このままだとみっともない姿を見せてしまうかもしれないという心配が押し寄せてきた。

バスが停車するたびに急いで降りようかとも考えた。恋人にはあとで説明しよう。だけど降りる勇気も出ないままバスは発進してしまう。次のバス停まで耐えられるか、もし耐えられなかったら運転手に声をかけて途中で下ろしてもらうか、一番後ろの席から運転席まで永遠の距離に見える、などと考えるうちにどんどん心拍数は上がり視界が狭くなっていくのを感じた。

結局、外の空気を吸いたいから途中のコンビニで降りてそこから歩こうと、嘘の言い訳をしてはやめに降りることにした。コンビニで買い物をして家に向かいながら、今日は少し熱っぽいから休ませてほしいと言った気がする。家についてからすぐに横になった。熱にうなされている気分になりながらそのまま朝まで寝込んでしまった。

最初の発作から数日のできごとだったこともあり、この時もまだパニック発作のことは知らなかった。だが、逃げられないような状況で苦しくなるのが続いた、とだけ思っていた。

その後も症状は続く

恋人と電車で少し離れたところまで遊びに行く予定を立てていた。朝から駅に集合して電車に乗ろうとしているところだった。電車の時間までは何も思っていなかったのに、電車が到着しそうなところでバスでの出来事を思い出す。

もし同じことが起きたら?電車はバスよりも降りづらい、降りた先も知らないし、人もたくさんいる。このことが不安を煽った。その場で心拍数があがり、上手に息ができない気がした。電車が着く頃になって気分が悪いからトイレに行かせてほしいとトイレに駆け込み、しばらくえずいていた。10分程度で落ち着いたが、その日は電車で移動できる気がしなくて予定をキャンセルすることになった。

それから外に出て同じようになったら嫌だと思うようになり、外出の頻度が減る。恋人にも面倒をかけてばかりになったので別れることにした。

その後大学の授業が再開する。大学まではバスで通学していたが、この頃を機に、通学の途中でもパニック発作が起きるようになった。パニック発作のこと自体はまだ知らないが、バスや電車に乗るといつも逃げ出したくなるという学習をしていた。最寄りから大学までのバス停はほとんど人が降りないので、朝の通学時間に途中下車するのも気まずくおもってバス通学をやめることにした。大学までは歩いて1時間くらいの道のりだったが徒歩で通学するようになった。

同じ頃、研究室での進捗発表の場でも同じように発作が起きてしまうようになっていた。自分の出番までに不安がどんどん大きくなり、人の発表を聞けるようなコンディションではなかった。発表は短くてよかったので乗り切れることもあったが、時にはお腹を壊していると嘘をついて何度もトイレに逃げることもあった。

それからは色々な場面で発作が起こり、先述のようになんとか回避していたが、今まで出来ていたことが普通にはできなくなってしまったことを実感した。自分の体に何が起きているのかを調べるようになり、やがてパニック障害の存在を知るようになる。

振り返ってわかったこと

こうして書いてみると、最初のほうの発作は別にパニック発作ではなかったのかもしれない。試験のストレスを感じていたし、そこから解放されて単純に体調を崩していたんだと思う。そこで気分が悪くなった体験を学習してしまい、再現したらどうしようという不安から二度目以降の発作に繋がったんだなと思っている。

また、パニック発作の存在を理解していなかったから、ほとんどの場合で発作が起きる場面を「回避」しようとしていた。その状況を避けることで「発作が起きそうになったら回避する」が自分の中での正解になってしまっていた。

そしてパニック発作が起きることを人に言えなかった。自分の何かがおかしいと思っても正体が分からないから言えないという側面もあるし、自分の弱さだと思って当時の誰にも発作が起きることを言わなかった。発作が起きてからは人付き合いが悪くなっていた。

もっとも大事なこととして、「気分が悪いかも」と思ってパニック発作を起こしていたが、自分はそれで心配していた出来事が実際に起こったことがない。倒れるかも、吐いてしまうかもと思ってトイレに逃げ込むくせに特に何も起きていなかった。たぶん上で書いた体験は他人から起きたら何も起きていないように見えていたと思う。

もし同じ状況の人がいたら

この体験から学べることは特にないと思うけど、自分だけではないと思ってもらえればいいなと思う。

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