電車やバスでのパニック発作
電車やバスなどの公共交通機関はパニック発作が起きやすい環境の一つである。理由は単純で、「すぐにその場を離れにくい状況」が重なるためだ。
具体的には
- 車内が閉鎖空間になっている
- ドアが閉まるとすぐには降りられない
- 他の乗客の視線がある
こうした条件が重なることで、「逃げられない」という感覚が強まり、身体が危険状態だと誤認して発作が起きることがある。実際、パニック障害の人にとって怖い場所には共通点がある。それは 「閉鎖性」「拘束」「社会的視線」の3つ。電車やバスも他の状況と同じようにこの3つをすべて満たしているため、発作のトリガーになりやすい。
電車やバスでのパニック発作への対処方法
もし、今まさに発作が起きている人のため自分なりの対処方法を先に書いておく。
呼吸を整える
まずは呼吸を整えるのを優先する。息を長く吐くことを意識する。息を吐いたら1秒間呼吸を止めても良い。そのあとは勝手に息が入ってくるのを待つようにする。
発作が起きると息苦しさを感じることがあるし、死んでしまうんじゃないかという恐怖を感じることもある。だが、体は生きようとしているので、酸素が足りなくなったら勝手に吸ってくれる。安心して息を吐き、自然に吸うのを待つ。無理にたくさん吸う必要はない。
コツとしては「横隔膜が動くのを実感する」「鼻呼吸をする」「呼吸が落ち着くと交感神経のほうも落ち着く」ことを念頭に置く。
意識を外に向ける
パニック発作かも?と思う体の予兆や反応を意識しすぎないように、自分の体以外のことに意識を向ける。
音楽を聞いてるならどれか一つの楽器の音に集中してそれだけを聞く、聞いていないときは歌詞を頭の中で暗唱する。車内で同じ色のものを10個探す。誰かひとりの乗客に集中して観察する(変な人だと思われないように、大事なのは外部に意識を向けること)。
脳を自分の体以外の何かひとつのことに集中させるようにする。
身体反応を正確に記録する
もし余裕があるなら、自分の発作反応をメモアプリに文字として書き出してみる。
意識を外に向けるのと矛盾するように思うかもしれないが、発作が起きていることを逆に観察して実況するように記録する方法。こうすることで起きていることを客観的に捉えることができて、焦燥感が落ち着いた。ただし、これができるようになるまではそんな余裕はなかったので、可能な範囲でやること。
電車でのパニック発作の体験
電車でのパニック発作は数え切れないくらい経験した。たった5駅の移動のために3回途中下車したこともある。。駅から駅までの間隔は5分もないのに、たった5分を無事に移動するのが難しいと思っていた。
電車の走行中は「倒れたらどうしよう」「もし吐いてしまったら」と考えてしまい、立っているのがやっとだった。座ったら座ったですぐに降りられなかったら嫌だと思って立っていることが多かった。その場に座り込むか迷ったこともあるし、ひどいときは緊急停止ボタンを意識したこともあった(実際に押したことはなかったし、押したほうが逃げられない状況になりそうだと思っていた)。
途中駅についてドアが開くとここで降りてしまうかという考えがよぎる。降りてしまえば今よりは楽だし、トイレで気持ちを落ち着かせるかと考える。実際に降りたこともある。だが、時間や移動の都合で降りづらい場合もあるし、毎回降りてばかりでも何も解決しなかった。
一番不安が強くなるのは、再出発でドアがしまろうとしているときだ。「いま急いで降りれば解放されるかもしれないし、閉まったらしばらく降りられない」と思っているとき、もっとも発作の症状が強く出ていたと思う。
発作のせいで途中下車して会社に遅れることもあったし、降りてからもう一度乗るのが辛くてタクシーで移動したこともあった。
パニック発作にどうやって対処していたか
一方で、発作が起きにくい状況もあった。
たとえば始発や終電の誰も乗っていない電車やバスは平気だった。第三者の視線がないだけで、自分の動きに制限が少なく迷惑をかける心配が減ったのが理由だと思った。始発終電とは言わないまでも、できるだけ混んでいる時間帯を避けたり、快速よりも各停を選ぶようにしていた。
もしくはトイレが備え付けられている車両の場合は比較的発作が起きにくかった。おそらく同じ理由で新幹線での移動は、事前に不安に感じることはあるものの、発作ほどの症状が出ることはほとんどなかったと思う。これ自体は何かアクションを起こしたわけではないが、同じ電車でも大丈夫な場合があるということは自分は本来大丈夫なんだ、と認識することで不安を軽減した。
満員電車で身動きが取れない場合は最悪の状況だったが、やけにぶつかってくるような嫌な人が近くにいる場合、そっちイライラして発作にならないことに気づいたこともある。何か別のことに脳のリソースを使っている場合は発作になりにくい。これは再現しにくかった。何か読んだりスマホのアプリをやったりしても、どこか別のことを考える隙があってダメなときはダメだったからだ。今でも正解はわかっていないが「別の何かに集中する」は解決策の一つだと思っている。
発作がひどくないときは、自分の様子を客観的にみることにした。具体的には自分の体に起こっている変化をメモに書き残すというもの。これで「不安な状況に陥っている自分」ではなく「不安な状況に陥っているのを観察している自分」に置き換えることで不安を認識しないようにしていた。

