
SF映画のスクリーンに映るインターフェースは、しばしば物語より雄弁に未来を語る。ホログラムに浮かぶ地図、青白く光るデータストリーム、静かに脈動するセンサー画面。それらは「現実には存在しないUI」──つまり FUI(Fictional User Interface) と呼ばれる領域だ。
FUIとは何か
FUIは、映画・ドラマ・ゲームなどの中で登場する架空のコンピュータ画面や情報表示を指す。「HUD(Head-Up Display)」や「コンソールUI」、「ホログラフィックディスプレイ」といった形で登場することが多い。
現実のユーザーインターフェースとは異なり、FUIの目的は「操作性」ではなく世界観の強化にある。つまり“使いやすい”必要はなく、“説得力がある”ことが求められる。
代表的なFUIの例
『アイアンマン』シリーズ
トニー・スタークのスーツ内部に投影されるHUD。複数の情報が空間上にレイヤー状に配置され、視線追従によって操作される。デザインしたのは Jayse Hansen。After EffectsとIllustratorを組み合わせて制作されており、現在でもFUIデザイナーの教科書的存在。
『ブレードランナー2049』
この作品のUIは、冷たくも有機的な世界観を補完するデザインで構成されている。画面に登場するフォントやノイズ、カラーパレットのすべてが、退廃と未来の境界を表現している。FUIチームは Territory Studio。彼らの作品は公式サイトで確認できる。
『マイノリティ・リポート』
指先のジェスチャーで操作するUIが初登場したのはこの作品。当時のプロトタイプは実際にMIT Media Labの研究者と協力して作られた。映画から現実への逆輸入が起きた代表例といえる。
自分でFUIを作るには
FUI制作は特別な才能よりも、観察力と構成力が鍵になる。まずは次のツールから触れてみるといい。
ツール 用途 備考
| ツール | 用途 | |
|---|---|---|
| Adobe After Effects | モーショングラフィックス制作 | SF風HUDを作るなら必須。 → Adobe公式で体験版を入手 |
| Figma | 構成やレイアウトの設計 | ワイヤーや情報階層の整理に最適。無料で使える。 |
| Blender 3D | FUIの制作 | ホログラムや空間投影を作りたい人におすすめ。 |
チュートリアルを探すならEnvato Elements のFUIテンプレートや、Domestika のモーショングラフィックス講座も有用だ。
まとめ
- FUI=「物語を支えるデザイン」
- 目的は操作性ではなく、説得力と世界観
- 学ぶにはAfter Effects、Figma、Blenderが最適
- アートブックや講座を通じて構成を理解するのが早道

